2021年11月現在、日本に流通しているコロナワクチンは3種類です。
いずれも海外の企業が中心となり開発したワクチンですが、各ワクチンの詳細や国産ワクチンの開発状況について気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、現在流通しているワクチンの特徴を解説。さらに、開発中の国産ワクチンの実用化の時期についてお伝えします。
2021年11月現在に流通している新型コロナワクチンの種類
2021年11月現在、日本に流通している新型コロナワクチンは次の通りです。
いずれも新しい仕組みで抗体を作るワクチンで、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンとウイルスベクターワクチンの2タイプがあります。
mRNAワクチンは、mRNAが細胞内に取り込まれることで、効果を発揮。
一方で、ウイルスベクターワクチンは、増殖できないように処理された「サルアデノウイルス」を取り込むことで、効果を発揮します。(注1)
ここでは、各ワクチンの特徴について解説します。
ファイザー社のワクチン(注2)
ファイザー社のワクチンはmRNAタイプで、1回目にワクチンを接種したときよりも、2回目に接種したときの副反応の方が強く現れます。
副反応は倦怠感や発熱、頭痛などが中心で、ごくまれにショックやアナフィラキシーなどの重篤な症状に見舞われることもあります。
本剤によるワクチン接種から十分な免疫を獲得できるのは、2回目のワクチンを接種してから7日後以降です。
なお、1回目と2回目のワクチン接種の適切な間隔は3週間とされています。
武田/モデルナ社のワクチン(注3)
武田/モデルナ社のワクチンもファイザー社と同じくmRNAタイプです。そのため、2回目接種の副反応の方が1回目接種よりも強く現れる特徴もファイザー社ワクチンと共通しています。
主な副反応は、倦怠感や発熱、頭痛などで、ごくまれにショックやアナフィラキシーが起こることもあります。
本剤によるワクチン接種から十分な免疫を獲得できるのは、2回目のワクチンを接種してから14日後以降です。
なお、1回目と2回目のワクチン接種の適切な感覚は4週間とされています。
アストラゼネカ社のワクチン(注4)
アストラゼネカ社のワクチンは、ウイルスベクタータイプで、他の2社とはタイプが異なります。
そのため、1回目のワクチン接種の方が2回目接種よりも副反応が強く出るといった、他の2社とは異なる点が存在します。
本剤によるワクチン接種から十分な免疫を獲得できるのは、2回目のワクチンを接種してから15日後以降です。
また、1回目と2回目のワクチン接種の適切な間隔は4~12週とされています。さらに、最大の効果を得るためには、8週以上の間隔をおいて接種するのが望ましいともされています。
現在開発中の国産ワクチンの種類(注5)
現在、日本でワクチンを開発中である企業は次の通りです。
- 塩野義製薬
- 第一三共
- アンジェス
- KMバイオロジクス
- VLPセラビューティクス
各日本企業ともに、ワクチンの実用化は2022年以降だとされています。それぞれの企業が開発中のワクチンを、ニュースメディアの情報を参考にご紹介します。
塩野義製薬のコロナワクチン|2022年3月に実用化予定(注6)
塩野義製薬が開発する国産ワクチンは、2021年11月から治験が開始される予定で、実用化の目途は2022年3月だとされています。
第一三共のコロナワクチン|2022年中の実用化目指す(注7)
第一三共が開発する子さんワクチンは、2021年秋から治験が始められており、22年中の実用化が目指されています。
アンジェスのコロナワクチン|2023年に実用化予定(注8)
アンジェスは有効性を示す新たな知見が必要になったことにより、開発中のコロナワクチン実用化が2年先送り。その結果、実用化の予定は2023年となりました。
KMバイオロジクスのコロナワクチン|2022年内に供給予定(注9)
KMバイオロジクスでは、開発中のコロナワクチンの臨床試験を2021年10月22日から開始。2022年内の供給を目指しています。
VLPセラビューティクスのコロナワクチン|2022年の実用化目指す(注10)
VLPセラビューティクスが開発するコロナワクチンは、2022年春に最終段階の治験に進み、2022年の実用化を目指しています。
国産コロナワクチンの実用化は2022年以降
国産コロナワクチンの実用化は、早くとも2022年以降になるようです。
実用化後は副反応や安全性についても気になるところ。今後の国産コロナワクチンの動向を注視していきましょう。
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(参考)
注3:武田/モデルナ社の新型コロナワクチンについて|厚生労働省
注4:アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについて|厚生労働省
注6:塩野義製薬のコロナワクチン、11月中に最終治験入り|日本経済新聞
注7:第一三共、コロナワクチン年内に大規模治験|日本経済新聞
注8:アンジェス、ワクチン実用化23年に 追加治験で開発遅れ|日本経済新聞
注9:KMバイオロジクス、新型コロナの不活性化ワクチンを2022年内にも供給へ|日経バイオテク
注10:少量接種で効果?新コロナワクチンの治験開始 来年の実用化めざす|朝日新聞
記事監修

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東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。