新型コロナの後遺症により、パワハラを受けたり、不当に解雇されたりして働けなくなった事例が存在します。
コロナ後遺症患者への差別は、コロナハラスメントとも言われおり、社会的な問題となっているのです。厚生労働省も対策に乗り出しており、コロナ感染を理由にしたパワハラや差別、不当解雇は禁止されています。
本記事では、コロナ後遺症で働けない理由や、差別・不当解雇を受けた場合の対処法をお伝えします。
コロナ禍以降の休職者は大幅増|働き盛り世代を直撃
日本で新型コロナウイルスが発生した2020年は、休業者数が大幅に増加。総務省統計局の発表からも前年に比べ80万の増加であることが、分かりました。
働き盛りを直撃したコロナ禍の影響ですが、休職や退職、解雇などを余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。
実際に、コロナ禍の影響で休業をする人の中には、新型コロナ後遺症で働けなくなった人もいらっしゃいます。
新型コロナ感染後に働けない理由
新型コロナ以降に働けなくなった理由は次の通りです。
- 倦怠感
- ブレインフォグ
- 差別や解雇
倦怠感で働けない
新型コロナ後遺症による強い倦怠感が続き、働けない場合もあります。
コロナ後遺症の中でも特に多い症状は、倦怠感や息苦しさで、男性よりも女性に多く現れやすいと言われています。(注1)
たとえば、医療職に従事する30代女性の場合、3ヵ月の休業を経ても症状が回復せず、最終的に退職した事例も報告されているのです。
この女性の場合、仕事に一度は復帰したものの全身のだるさが抜けず、退職に至ったようです。
ブレインフォグで働けない
ブレインフォグとは、脳の炎症などが原因で頭がぼーっとして、記憶力や思考力、集中力などが低下した状態を指します。
慢性疲労症候群との関連性も示されており、全身の倦怠感を伴うのも特徴です。
コロナ感染でブレインフォグが起こる理由は、免疫異常によるサイトカインストームだとするのが有力な仮説です。
つまり、免疫異常により自己抗体が作られ、身体を守るはずの免疫が自身の脳細胞のたんぱく質にダメージを与えます。
ブレインフォグになると仕事のパフォーマンスが大幅に低下するため、休業を余儀なくされる方も多いのではないでしょうか。
ブレインフォグについて詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
関連記事:新型コロナワクチン接種後にブレインフォグになる?理由や治療法について解説
差別や解雇で働けない
コロナ感染が原因で、「コロナハラスメント」に遭ったり、解雇を言い渡されたりする事例もあります。
たとえばパワハラとは一般的に、職場の上司から業務上で必要な範囲を超えて作業を指示されたり、嫌がらせを受けたりすることを指します。
コロナ禍に起きたパワハラを「コロナハラスメント」というのです。
集団で特定の1人を排除しようとする行為も、過去の判例でパワハラとして認定されたことがあります。(注2)
つまり、コロナ感染者への差別や仲間外れもコロナハラスメントにあたります。コロナハラスメントを受けた際は、会社の人事部や公的機関に相談しましょう。
新型コロナ感染者に対するコロナハラスメントの相談窓口は、次の通りです。
(法務省)人権相談窓口における相談受付
(厚生労働省)都道府県労働局における相談受付
(文部科学省)子供のSOSの相談窓口
新型コロナ後遺症の労災認定(注3)
仕事が原因で新型コロナに感染して、後遺症が残った場合、労災認定されます。労災保険で受けられる補償内容は次の通りです。
- 療養の給付
- 療養費の支給
- 休業補償
療養の給付とは、労災保険指定医療機関や薬局にて無料で治療や薬剤の支給を受けられる補償です。
近くに労災保険指定医療機関や薬局がない場合に指定以外の病院を受診した場合、療養費の現金支給も受けられます。
また、休業補償の給付内容は次の通りです。
なお、労災保険における療養費の支給を受けるには、療養の給付請求書が必要です。
新型コロナの後遺症外来はスマートクリニック東京へ
新型コロナの後遺症にかかると、本来はあってはならないはずの差別や解雇、パワハラなどを受けることがあります。
新型コロナ感染者や後遺症患者に対する差別は禁止されていますので、職場で不当な扱いを受けたら、厚生労働省などが設置する相談窓口に連絡をしましょう。
また仕事関係でコロナ感染にかかった場合は、労災認定されて保険も利用可能です。
スマートクリニック東京では、新型コロナ後遺症による症状自体でお困りの方に、サイトカイン療法を行っています。
再生医療の技術を応用したサイトカイン療法を受けていただくことで、コロナ後遺症からの回復が期待できます。
コロナ後遺症でお困りの方は、当院にご相談ください。
(参考)
注1:コロナ後遺症、症状多岐 倦怠感や脱毛、1年続く人も―専門医「早く受診を」|時事通信社
注4:休業(補償)等給付傷病(補償)等年金の請求手続|厚生労働省
記事監修

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東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。